【22-23 B2】目指すは昇格?降格回避?チーム編成の動向予測

【22-23 B2】目指すは昇格?降格回避?チーム編成の動向予測

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 来たる、2022-23シーズンでは、B1-B2、B2-B3共に降格制度が再開される。
しかもコロナ禍に見舞われた2シーズンの帳尻を合わすかの如く、残留プレイオフ及び入替戦なしの【2チーム自動降格】。Bリーグ発足以来最も厳しい制度といえるだろう。

 今回はそんな厳しいシーズンを迎えるB2の各チームのチーム編成について、現時点までの状況と、これからの動向予想を書いていきたいと思います。

 まず、22-23シーズンのB2はについての基本情報をまとめる。

基本情報

 チーム数は14チーム。21-22シーズンにB1昇格を果たしたFE名古屋、仙台が抜け、B3より昇格してきたA千葉、長崎が加わった為、21-22シーズンと同数のチームでのリーグ戦になる。
リーグ戦の総試合数は未定。2チームずつ自動昇降格が発生し、4チームがB2を去ることになる。
昇降格チームの詳細な条件はまだ未発表である(2022/06/12時点)
https://www.bleague.jp/news_detail/id=126546

 しかし、これまでのシーズンを踏まえると以下のように予想がつく
昇格:ポストシーズン1~3位チームのうち、B1ライセンスを保持する上位2チーム
降格:リーグ戦全体最下位及び下位2位(14位&13位)の2チーム
※23-24のライセンスの交付有無による影響は考慮しない

 昇格に関しては、17-18シーズンまで行われていたB1-B2間の昇降格ルールを参考にしている。
https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/r-20_20191011.pdf

 降格に関しては、17-18シーズンまで行われていたB1-B2間の降格をかけた残留プレイオフへの出場チームの選出方法及び、B2-B3間の昇降格をかけた入替戦への出場チームの選出方法を参考にした。
https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/r-23_20190902.pdf
※参考URLはいずれも実施予定だった19-20シーズンの規約

 以上の基本情報を踏まえると各球団の思惑が予想できる。この思惑と現実的な問題の折り合いをつけて各自チーム編成、契約をしていくことになる。

その球団の思惑とは、以下の2つ。
①絶対、降格を回避すること
②昇格権を獲得すること(FINAL出場)

 まず「①絶対、降格を回避すること」に関しては全チームの至上命題になる。近年はB3も資本によるパワープレイが散見される為、違和感なく感じられるが、B1-B2とB3はリーグの法人が異なる。またLive配信サービスや露出の面でも異なっており、良くも悪くも地力が試される。
 また、同じB3でも「新規参入」と「B2からの降格」ではスポンサーの心象など少なからずマイナス面を背負う形になるのは予想できる。 2026年以降の新リーグ構想を視野に入れるのであれば経営的にも降格は避けたい。

 次の「②昇格権を獲得すること(FINAL出場)」に関しては、とりわけ21-22シーズンにポストシーズンに進出した、ワイルドカードを争ったチームにとっては視野に入れるべきものになる。
優勝という栄光はもちろんのこと、それによって得られる追加の売上や翌季のB1参入によって得られる様々な恩恵を得ることは経営にはもちろん、ファンやスポンサーに与える影響も大きなものになる。

 これら思惑も基本情報と共に頭に入れて、各チームの現状と動向の予想をしていきたいと思う。

各チーム選手獲得動向

 参考までに触れておくと、コロナ禍が収束に向かっていることと、降格制度の復活が影響してか、21-22シーズンでの契約満了や、複数年契約の解除が起こり、比較的移籍市場での選手の移動は活発になっている。

 各チームの現状と動向を予想していく為にチームを以下5つのグループに分類した。
 この分類は、最終戦が起算日となって現在籍選手との契約更新通知期限(7日後)契約交渉期限(21日後)が設定されることと21-22シーズンの結果を踏まえた動向の予想をしていく為に行った。
 なお、レギュラーシーズンを上位下位に分けた理由としては、全体12位の東京Zが10勝、11位の山形が19勝と大きな差があり、これは22-23シーズンの編成にも影響しうる差であると考えたためである。
※以下に記載される選手の情報は2022/06/12時点での情報である

【RS終了下位】

このグループは現時点において降格可能性が最も高いグループになる。
理由は21-22シーズンの成績と20-21シーズンの経営状況が双方、または一方が芳しくないからである。

青森

 外国籍の長期離脱や契約解除の影響もあり、5勝47敗で終了。シーズン当初の編成で外国籍が健康であれば20勝前後は狙えたと思われる。現時点で主力のほぼ全てを自由交渉選手リスト入りしており、下山大地の継続が発表された
 20-21シーズンの経営状況では、営業利益こそ赤字だったが、純資産が2,000万円近く残っているため、21-22で散財していなければ、コート人件費に投資する余力はあると考えられる。
 早期にシーズン終了したのにもかかわらず契約選手の発表が行われていない理由が、他クラブとのリリースの兼ね合いか、現所属選手含め市場動向を見て交渉中なのかによって、チーム構想やケミストリーに大きく影響するので、注目したいところ

奈良

 外国籍の入替や負傷、主力日本人の負傷などが響き成績は9勝45敗で終了。現時点で日本人6名が継続。ガードと外国籍の補強とマッチするHCのリクルートが課題になると思われる。リクルート先は主にB2からだが、外国籍を扱える中堅、ベテランガードが欲しい。
 20-21シーズンの経営状況では営業外費用の約4000万円が響き、2,700万円の債務超過状態ではあるものの、先の営業外費用は一時的なものの為、余裕があるわけではないが、経営的に安定していると考えられる。
 日本人の継続契約が早期にまとまったことは同グループの2チームに比べて早くかつ濃いチーム作りをできる点で優位に立っている。

東京Z

若手主体のロスターやアジア枠を起用し躍進を図るも、HCの契約解除、度重なるコロナ・ケガの影響で10勝43敗で終了。
 現時点で若干18歳の岡島和真選手のみ契約が発表されそれ以外のほぼ全員が自由交渉選手リスト入りした。HCをはじめとするコートスタッフも契約を満了し、実質解体された。
 20-21シーズンの経営状況では2シーズン連続のコロナ禍の影響を色濃く受け約7,300万円の債務超過となっている。
このグループにおいて最も金銭的にも、コートの文化の継続的にも厳しいと思われる。
早期にシーズン終了したのにもかかわらず契約選手の発表が行われていない理由が、他クラブとのリリースの兼ね合いか、現所属選手含め市場動向を見て交渉中なのかによって、チーム構想やケミストリーに大きく影響するので、注目したいところ

【RS終了上位】

このグループは大きなテコ入れが凶と出るか吉と出るか難しいグループになる
理由は、下位チームの躍進と上位チームが昇格を目指して行う補強による黒星の増加が重なると降格可能性が高まる点と、自身もテコ入れしてプレイオフ進出を目指す立場にいるからである。

山形

19勝33敗で終了。現時点では7名の日本人と契約を継続。外国籍とベテランガードをリスト入りしたため奈良同様、ガードと外国籍の入替で補強を狙う。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が約1億円の赤字、債務超過が約1.9億円とRS終了チームの中では群を抜いて額が大きい
しかし、2022年度(23年6月期)からはB1ライセンスの債務超過は認められず、このままでは、23-24シーズンのB1ライセンスが交付されない可能性が高い。
 その為、プレイオフ進出を狙わずにもしくは狙いつつ財務健全化に注力し、コート人件費を削減する可能性がある。削減した場合はRS終了下位グループのチームと降格争いをするかもしれない。

福岡

20勝30敗で終了。現時点で6名の日本人選手と継続契約。主力ガードの丹野合気を始め2人の日本人選手とアジア、外国籍選手をリスト入り。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益は赤字だが、純資産は約600万円ほど残っている状態。21-22シーズンの業績次第ではあるが、降格リスクを背負うほどの人件費削減はないと考える。コスパのいいガードを獲得して経営状態を改善して投資するタイミングを図ると思われる。

愛媛

 シーズン終盤までワイルドカード争いをするも力及ばず22勝25敗で終了。
 現時点で継続と新加入で6名の日本人と3名の外国籍(継続)と契約している。最も早く外国籍3名を揃えた。ベテランガード、シューターを的確に入替補強し、プレイオフ進出を狙う為に早期に契約をまとめた印象。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が2,000万円の赤字、債務超過も約6,000万円だが、前年に比べ赤字幅が半分近くに減っていることを考えるとこちらも降格争いに参戦しないと考えられる。
 22-23シーズンはB2ライセンスの交付を受けたこともあり、要件次第ではあるが、プレイオフ進出して勝ちを獲りに来る布陣であると見える。残り3枠の日本人は、メンターを兼ねたベテラン、ガードの控えなどを獲得することでタイムシェアが出来るチームにすると思われる。

【POQF敗退】

福島

 34勝18敗で東地区3位でプレイオフ進出。QFで仙台とGAME3まで戦うも敗退で終了。
 森山GM兼HCが契約満了、主力の水野選手が京都へ移籍するも、新HCにACを勤めていた佐野氏が就任。ベテラン日本人を中心に現在5名と契約。カルチャーを継承しつつ補強を目指す方向と思われる。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が1.3億円の赤字、債務超過も約1.5億円。費用が19-20シーズンに比べ約1.8倍の約3.9億に跳ね上がっている。売上も2.6億と約1.7倍になっているものの、差分が債務超過として積みあがっている状態だ。
 21-22シーズンはバランスの取れた編成となっており、ボールシェアをはじめとして安定感がある試合運びが特徴であった。反面ケミストリーを高さで勝ち切るスタイルの為、前半は格下にも競る展開などもみられた。個で打開できる選手の獲得か、カルチャーフィットする走れて献身的な外国籍を獲得してケミストリーを高めることで飛躍を目指すかで、今後数年の方針が見えてきそう。

越谷

 25勝23敗でワイルドカードでプレイオフ進出。QFでレギュラーシーズン全体1位のFE名古屋と対戦、GAME1に大敗するも、2試合目に接戦を演じる。しかしGAME3に持ち込むことはできず敗退で終了。
 現時点で、コアメンバーの日本人選手7名とバッツ選手と継続、青森から駒沢選手を獲得し、昇格を狙う。      
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が100万円の赤字、純資産が1,900万円となっている。19-20シーズンも営業利益が700万円の黒字のところを見ると、経営計画が上手くいっているか、費用に応じてスポンサー費用を調整しているのかのどちらかであり、どちらにしても健全な状態だ。練習会場の新設や、チアリーダーのプロ契約、3×3チームの設立などを行っており、資金面については安定かつ積極的に投資活動を行っているように見られる。
 20-21シーズンはSF進出、21-22シーズンはQF進出という結果を残した、B2では驚異的なインサイド支配力を持つバッツ選手を軸にした編成を継続し、日本人選手で得点とペイントタッチが出来る駒沢選手を獲得し、編成は万全。個人的な昇格筆頭候補である。

西宮

シーズン終盤に失速し36勝19敗で西地区3位でプレイオフ進出。QFで熊本と接戦を演じるも敗退で終了。
 現時点でのロスターは一人も発表されておらず、川村卓也選手や外国籍、アジア枠選手が自由交渉選手リスト入りしている。またHCが大阪への移籍を発表。
中堅ベテラン選手を残し、B1選手の獲得を狙っているため編成の発表が遅れていると思われる。ここ数年プレイオフ進出するもQFで敗退が続き、最も昇格を熱望しているチームの一つ。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が1.5億円の赤字、債務超過も約1.1億円となっている。コート人件費も19-20シーズンに比べて5,000万円ほど増加しており、21-22シーズンも同額かそれ以上のコート人件費をかけていると予想できる。
 現時点で自由交渉選手リスト入りしたメンバーを見る限り、外国籍、日本人スコアラーの即戦力獲得を補強し、既存ガード選手と組み合わせて昇格を目指すと思われるが、債務超過次第ではB1選手の獲得ではなく、降格回避に注力して昇格争いから一歩後退もありえる。

2022/06/13追記
前福島GM兼HCの森山氏のHC就任を発表。日本人HCは17-18シーズン5シーズンぶり。
森山氏の能力は素晴らしいことは前提として、人件費と戦力の兼ね合いと予想される。また育成に舵を切っていくのかも注目

佐賀

 レギュラーシーズンを29勝21敗で終え、ワイルドカードでプレイオフ進出するも、主力のケガやファウルトラブルに悩まされ、香川との接戦を制すことができずQF敗退で終了。
 現時点で日本人8名とチームの躍進の中心になったガルシア選手との契約継続を発表。ケミストリーを高めて昇格を狙う。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が2.2億円の赤字だが純資産は約1.2億円になっており、資本余剰金約14億で補填している形になる。
 21-22シーズンの戦力と現時点での継続選手を見る限り、今期もコート人件費は増加傾向で売上の成長具合で赤字幅が変わると思われる。
他の債務超過を抱えるチームと違い、黒字決算になっているため昇格には支障ないが、余剰金の出どころの残り資金次第では劇的に経営が悪化する可能性を抱えている。

【POSF敗退】

熊本

 圧倒的な攻撃力でレギュラーシーズンを36勝18敗、西地区2位で終えプレイオフ進出。QFで西宮の猛追を振り切る物の、主力ハミルトン選手の目のケガなどもあり、FE名古屋にSFにて敗退。3位決定戦に挑むもコロナ陽性者が出たことにより不戦敗4位で終了。
現時点で日本人選手の主力を担った木田選手、ケガから復帰した古野選手含む日本人選手5名、大きくチームをけん引したLJピーク選手、ハミルトン選手、帰化枠のファイサンバ選手が自由交渉選手リスト入り。うちLJピーク選手はB1茨城への移籍が決定している。B3さいたまより長島選手、B2愛媛よりスキルコーチ兼任で山本選手を獲得した。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が約200万円の赤字、純資産が約8,500万円となっている。
 経営状態は問題ないものの20-21シーズンに起こったとされるパワハラ問題にて、GM及び会長が辞任。新GM及びHCとして現HCのドナルド・ベック氏が就任。このGM変更が22-23シーズンの編成に与える影響が気になるところ。
 また、21-22シーズン開幕前に前GMのコメントからコート人件費に投資を行ったと予想でき、チームの核を担った外国籍2選手がそろって退団するとなると、GM交代、予算縮小など相まってロスター刷新、成績低迷も考えられる。ベックHCの手腕と球団側の体制変更の変更をいかにコートに影響させないかが課題。

香川

 西地区1位でレギュラーシーズンを終え、QFで佐賀との接戦を制すものの、SFで仙台の執念とスキのない試合運びに押され、敗退で終了。現時点で外国籍2名、日本人5名との契約継続を発表。同時に日本人の主力を担った谷口選手との契約解除含む6人の日本人選手を自由交渉選手リスト入り。
 QFの試合結果やウッドベリー選手の契約の去就を考慮すると、大きく編成を変える必要に迫られている。
 20-21シーズンの経営状況では営業利益が1.2億円の赤字、債務超過は約9,000万円となっている。
資本金も損失補填か株主への返還か詳細は不明だが、19-20シーズンより減少しており、経営状態の改善が求められる状態と見受けられる。
資金不足ことがコートへ響き、西宮と同様一歩後退も考えられる。

【昇格組】

A千葉、長崎

 この2チームは参入初年度昇格ということもあり、前年度決算が不明である。
しかし、両チームともB1,B2の主力クラスと契約してB3リーグを制覇した為、コート人件費に関してはB2プレイオフ進出チーム並には少なくともかけていると予想できる。
また、B1,B2の主力クラスと契約して「B3リーグ制覇して、サヨナラ」は球団・選手共にメリットが薄いため、主力選手は複数年契約かそれに準ずる契約をしており、高額年俸などで他所に引き抜かれない限り大きなロスター変更は起きないと予想される
補強としてB1、B2クラスのロールプレーヤー及び、主力外国籍と契約する可能性は高い。

以上が22-23シーズンB2チームの筆者の選手動向になる。決算については2シーズン前の発表を基にしていることと、筆者のつたない知識での解釈の為、間違っている部分もあることをご了承いただきたい。(指摘あれば随時お願いします)

また、選手動向内で債務超過について触れる機会が多かったため、追記しておくと、
23-24シーズンからは22-23シーズンまで存在していたコロナでの特例がなくなり、債務超過がある状態ではB1ライセンスが交付されない。(B2ライセンスは23-24シーズンまで債務超過アリでも特例で交付される)
その為、22-23シーズンはコートの成績と共に経営改善を図る必要がある。

参考
20-21シーズン決算
https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/financial_settlement_2020.pdf

19-20シーズン決算
https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/financial_settlement_2019.pdf

ライセンス規約
https://www.bleague.jp/files/user/about/pdf/r-33_20210909.pdf
※財務基準に債務超過についての特例の記載があります。

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